わたしとあなたのありのまま ‥2‥



「答えなんか……
 一つしかないよ、ずっと私の気持ちは変わらない。
 私の全部は……全部が、田所のものだよ、田所だけの。
 最初からずっと。
 出会ったあの日から――

 私の全ては田所のためだけに在った」


 気持ちを言葉にのせて相手の心に届けることは、思っていたよりも案外簡単だった。

 ちゃんと伝わったみたいで、田所は両腕で私の背中を包み込んで、ギュッと力強く抱きしめてくれた。
 痛いほどのキツさだったけれど、その痛みすら心地よかった。


 身体がみるみる熱を帯びてきて、けれどそれが、田所に抱きしめられたからなのか、高ぶって止まらなくなった激しい感情のせいなのか、どちらかわからなかった。



「俺の全ても、
 ほのかのためだけに在らせて」

 田所は耳元で囁いて、そのまま私の首筋に顔を埋めた。
 そして、スゥーと思い切り鼻から息を吸い、「ほのかの匂い」と愉しげに呟いて、そこにチュッと小さな音を鳴らして口付けた。