こんなことろを近所の人に見られたら困るな、って。 そんな不安が一瞬だけ脳裏をよぎったけれど、でもすぐにそんなことはどうでも良くなった。 どうでも良くなるほど―― 田所がくれた言葉が嬉しかった。 「ほのかの全部を、俺にください」 一気に押し出すようにして言い、田所はしゃくり上げた。 涙でぐしゃぐしゃの酷い顔。 それでも顔を逸らさず、真っ直ぐに私を見詰めてくる。 見っとも無いほどに泣きじゃくって、すごく格好悪い。 私なんかの為に、こんなに一生懸命でバカみたい。