「田所は、『傍に居たら触れたくなるから辛い』って言った」
私の声も田所に負けず劣らず震えていた。
胸の奥からせり上げてくる、切ない痛みのせいだ。
田所の声が震えているのも、同じ理由からだろうか。
「ほのかは、『触れてくれればいいのに』って言った」
田所は少しふて腐れた顔をして、ボソボソと言う。
喧嘩している子どものような幼稚な返しに驚いた。
けれど、
「『触れたらキスしたくなる』って言った」
と、躍起になって言い返した。
そうしたらまた、
「『田所にだったら何をされても平気』って言った」
と再び幼稚な返し。



