けれど、縋るような漆黒の瞳に逆らうことが出来なくて、恐る恐るそれを受け取って中の物を取り出した。


 カチューシャだった。

 細くてギザギザしたブラックシルバーの台座に、淡い色使いの石のモチーフが少し斜めの位置についていて。
 控えめな華やかさが感じいい。
 すごく可愛い。


 正直、『今時カチューシャ?』って思ったけれど、田所はもしかしたらこういう感じが好きなのかもしれない。
 だとしたら『付けたい』と、また性懲りもなく思ってしまう。



「くれるの?」「うん」

「田所が買ったの?」「うん」

「自分で?」「当たり前だろーが」