滞りなく一日の仕事を終えて夕方帰宅すると、門のすぐ横、背の高い男の人が塀にもたれるようにして立っていた。

 ルーズジーンズに茶系のトラックジャケット。
 その飾らないラフな服装から、遠くからでも誰だかすぐにわかってしまった。


 ジーンズのサイドポケットに親指を突っ込んで、ボーっと自分の足元を見詰めている。



 絵画か何かのように幻想的で、そこだけ時が止まっているように映った。

 沈みかけた陽の暖かな色を浴びて、こちらに長い影を伸ばしている。
 そのシルエットも、彼自信の輪郭も、まるで綿密に計算されたかのように端正で美しくて綺麗。

 けれど、じんわり染み出して、ゆらゆらと漂ってくる儚さに、切なくて胸がキュッとなる。



 思わず足を止めた。