せなくんが正しいのに――
その正しさが逆に腹立たしくて。
激しく責めるように捲し立て、怒りの全てをせなくんにぶつけた。
それでもせなくんは、怒ることなく切なげに瞳を揺らしただけだった。
「満足なんかしてねぇし」
不意に田所が口を開いた。
ゆるゆると振り返れば、両腕を地に突き立て半身を起こした田所の、今にも泣き出しそうな顔がそこにあった。
殴られて腫れあがっているからそう見えるのかもしれない。
もしかしたら、痛みが酷くて泣きそうなのかも。
そんな事を考えていたら、田所が意を決したように続けた。
「ほのかが傍に居たら、触れたくなる。
そういう自分の気持ちを抑え込もうとすると、今度は気が狂いそうになる。
ぶっちゃけ……もうしんどい」
田所は言い終わると、自嘲気味に薄く微笑んだ。



