「ウジウジしやがって」
重苦しい沈黙を破ったのは、またもせなくんだった。
見下したようなニュアンスを含んだ声に、田所の顔がみるみる紅潮する。
怒っているのか、傷付いているのか、その両方なのか。
田所を染めた赤の意味が、私にはわからなかった。
「いつまでウダウダやってんだよ? フニャチン野郎。
胸クソ悪くて反吐出るわ。
あんだけ女に思われたら、そら気持ちぃよなぁ?
手放したくねぇよなぁ?
中途半端なことばっかしやがって。
イラつくんだよ、クソが」
低く静かな罵言罵倒が薄闇を鋭く切り裂いた。
入口自動ドアが開き、照哉くんが携帯をいじりながら出て来た。
その後ろから、ゾロゾロと他の皆も続く。
けれど――
もう手遅れだった。



