「何やってんの?」
不意に、頭の上から刺々しく落とされた言葉に、恐る恐る視線を上げれば、すぐ傍に冷たい無表情で私たちを見下ろしているせなくんが立って居た。
田所も弾かれたように身を起こし、素早く右袖で両目を一拭いした。
けれど、その目の中に拭いきれずに残った赤を見て、田所はやっぱり泣いていたのだと確信する。
田所を、そんなにも苦しめているのは、紛れもなく私で。
そう思ったら、胸に激しい痛みが走った。
「何やってんのかって聞いてんだよ。
答えらんねぇの?」
黙ったままの田所に、せなくんはもう一度問う。
感情のない、静かな低い声。
だからか、余計にそれが冷たさを纏って、背筋が凍るような恐怖を感じた。



