田所が私の左肩にかかる髪を右手の甲でフワリとすくった。
そしてそれは、滑らかな動きで移動し、そっと支えるようにうなじに添えられる。
クイとそこに、小さくて優しい圧が掛かり、ほんの少し田所の方へ引き寄せられた。
微かに傾けられた田所の顔がゆっくりと近付いて来て。
長い両の睫がパサリと下を向くのを、ぼんやり眺めていた。
瞼に重みを感じて、ゆっくりとそれを落とせば、目の前の田所は暗闇に呑み込まれて消えた。
宇宙空間を漂っているような、ふわふわした不思議な感覚が心地よかった。
あっ……と思った。
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