田所は一瞬だけ目を見開いて、けれどすぐにそれを切なげに細める。
薄暗闇と沈黙と。
静しか存在しないこの状況下で、息遣いが聞こえるほどの至近距離。
田所の視線が熱くて、それを受け止めている私の瞳が、ジリジリと焦げ付くような痛みを覚える。
「……いいよ」
ようやく口を開いたかと思えば、何でもないことのように、とんでもないことを言う。
たちまち思考回路がグチャグチャに乱されて、頭の中が大混乱に陥った。
『いいよ』って何が?
そう聞こうと思ったのに、どういう訳か喉を鳴らすことができなくて。
為すすべなく、ただ、二つの深い漆黒の瞳を見詰めていた。



