「何その顔?
キスのおねだり?」
その言葉でまた心臓が爆発しそうになる。
ドクッ、ドクッ、ドクッ、と。
全身に響き渡る鼓動がやかましくて困る。
田所に聞かれてしまうんじゃないかと心配になる。
けれど、フッと闇が戻って、いつもの視力を取り戻した私の目に映ったのは、子どものように無邪気で悪戯っぽい笑顔。
ああ、冗談か。
わかりきっているはずなのに、期待してしまった自分が恥ずかしい。
でも、もしかしたら――
百万分の一の確率、いやそれ以下の本当に微かな、奇跡レベルの可能性。
それを捨てきれない私は、
「『おねだり』だったら、してくれるの?
キス……」
と、自爆覚悟で自ら地雷を踏んだ。



