「バッカじゃないの?
田所酔ってるでしょ?」
気づけばもの凄く至近距離にあった田所の胸板を、ギュウと押してなんとか距離を取り、怒った風を装って言い放った。
「そうかも」
照れた笑みを浮かべて田所はあっさり認めた。
まだ軽症みたいだ。
だって自覚症状があるもの。
「醒ましてくるわ」
言って、私の肩に片手を載せ、あろうことか全体重をそこに掛けて立ち上がる。
「ちょっと!」
思わずそんな文句が口を衝いて出た。
私のすぐ目の前に立った田所は振り返るようにして私を見下ろし、ニッと一瞬だけ微笑むと、すぐに顔を逸らして、流れている曲を口ずさみながら部屋から出て行った。



