と、鞄を持つ右手首を横から掴まれた。 軽々と握っているように見えるのに、私の右腕は完全に動きを封じられてしまった。 どんなに力を振り絞っても、ピクリとも動かない。 私の手首を握っている手の先へ、ゆっくりとその腕を伝うようにして視線を滑らせた。 『せな』くん…… せなくんは田所の友達で。 田所や照哉くんたちと、いつも一緒にいる理系男子のうちの一人。 「秋山さん」 制す意味を込めて、私の名を静かに口にした。 急に全身の力が抜けてしまい、ゆるゆると腕を下せば、せなくんの手は自然に離れた。