ズル休みだと気付いているのに、母は何も言わないでいてくれた。
 理由は聞かず、「何か食べたいものある?」だとか、「気分は?」とか優しく声を掛けるだけ。

 こういう時、同性の親っていいな、って思う。


 食事も巧く喉を通らない。
 食べることってこんなに難しかったっけ? とか思う。

 これじゃあ確実に痩せてしまう。

 田所は『細い女はあんまり好きじゃない』って言っていたのに。
 そんなことをふと考えてしまい、もう関係ないんだった、と思い出したらまた泣けた。


 ベッド端に腰掛け、壁に掛かっているカレンダーをぼんやりと眺めていた。

 木曜日か。

 もう少し。もう少しだけ。
 月曜日には学校へ行こう。
 自分自身に言い聞かせるように心で何度も呟きながら、机の上の携帯電話に手を伸ばした。