「やっぱ俺たち……


 別れよう」




 驚きはなかった。
 今日ずっと、予感していたことだった。

 わかっていたはずだった。

 土曜日のデートの約束も、最初から嘘だった。
 それも、心のどこかで気付いていたはず。


 田所が身を屈めて、私の唇に触れるだけのキスをした。

 身体全ての感覚が麻痺しているようで。
 触れた瞬間も、離れた瞬間もわからないほどで。

 田所の顔が近づいてきて、そしてすぐに再び離れたから、キスをされたんだと思った。


 ただ、それだけ。