「土曜は社員さん居るから何とかなるでしょ」
言って、また田所は屈託なく笑う。
戸惑いながらも「うん」と答えれば、「どこ行くか考えとけな」と偉そうに言って田所はまた笑った。
空になったお皿を、店員が下げてくれた。
このまま店を出るのは、どうしても嫌だった。
必然的にお別れになってしまうから。
この後のことは、食事中の会話の中で一切出てこなかったから。
「はい! 田所先生!」
肘を折った右腕を控え目に上げて、ちょっとだけテンション高めに言った。
「秋山さん、質問は後にしなさい」
ノリのいい田所は、教師になり切ってすぐに返してきた。
田所のその順応力は賞賛に値する、と私は常々思っているのである。



