わたしとあなたのありのまま ‥2‥



 断る理由もないまま「うん」と返せば、「着替えてからまた来るわ」と、ようやく田所の骨張った大きな手が私のそれからスルリと離れた。


 ちっとも去ろうとしない田所を不思議に思いながらも、ゆるゆると背を向け玄関へ向かうと、

「お洒落して来いな」

 また不意打ちで背中に声をかけられた。

 ふんわり温かくて、
 けれどもどこか冷ややかで。


 恐る恐る振り返ると、もうそこに田所の姿はなく。
 慌てて門の外へと舞い戻れば、愛しい人の背中は既に小さくなっていた。


 何だろう、この感じ。
 モヤモヤ? ソワソワ? ジンジン?
 どれも違う。

 息苦しい、なんだかとても。

 怖いんだ、多分。
 いつもとは違う田所に、不安を通り越して恐怖を感じているんだ。

 理由はわからないけれど。