その日のホームルームも終わり、帰り支度をしていると、「ほのか」と声を掛けられた。
クラスメートの夢叶(ユメカ)だ。
それほど仲が良いわけではないので、不思議に思いながらも「ん?」と返せば、夢叶は火がついたようにしゃべりだした。
「間近で初めて見たー。
ちょっと、ヤバくない?
カッコ良すぎなんだけど。
思わず頭下げて挨拶しちゃったら、『ども』って言われた!
いいなぁ、ほのか~」
夢叶はかなり興奮しているらしく、彼女の話は主語がない上に支離滅裂だった。
言いたいことだけを押し付けられている感じ。
けれど、何の話か、誰の事か、すぐにわかってしまった。
しゃべっている間も終始注がれていた、夢叶の視線の先を辿って答え合わせ。
やっぱりだ。
教室入口にはいつもの不機嫌顔の田所がいて、縦に長い身体を囲いにもたれかかるようにして預けている。
私と視線がぶつかると田所は、バツが悪そうに苦笑した。



