「ねぇ、ほのか。
田所、ちゃんと避妊してくれてんの?」
耳を疑った。
どうして? どうして綾子にそんなことまで聞かれなきゃならならないの?
思わず顔を上げれば、綾子の顔が目の前にあって。
言葉が見付からず、黙ったまま見詰めていたら、綾子の瞳の中で透明な液体が波打った。
「ねぇ、答えてよ。
ちゃんと避妊してくれてる?
ほのか、大事にされてる?
田所と付き合ってて幸せ?」
綾子の瞳を覆っていた透明な膜は、とうとう溢れ出した。
咽び泣く綾子を、なんだか遠いところから見ているような気持ちだ。
何故綾子が泣いているのかさっぱりわからない。
泣きたいのはこっちの方だ。
大事にされているか、とか。
付き合ってて幸せか、とか。
今の私にとっては、残酷なほどに意地悪な質問だ。
私は……
何て答えればいい?



