嫌だ、触らないで。
心はそう叫んでいる。
けれど辛うじて、綾子が私を想う優しさを感じ取るだけの思考は残っていて。
邪険に突っぱねることもできなかった。
「余計なお世話だよ。
田所もそう言ったのに。
照哉くんは何でわかんないんだろう?
私たちのことは、ほっといて欲しいのに」
未だ膝に埋もれた顔では、くぐもり声しか出ない。
けれども綾子はちゃんと聞き取れたようだった。
「照くんは、二人のこと本当に心配してて。
キツいこと言われたんだよね?
でもほのか、わかってんでしょ?
意地悪で照くんが言ってんじゃないって」
「お説教なら聞かないから。
今は聞きたくない」
ボソボソと返した。
聞こえなくてもいいんだ。
私の気持ちなんか、誰にもわからない。
綾子にだって。



