また誰か、この教室に入って来た。 スライドドアが静かに滑る音が耳に届く。 けれど、私は顔を上げなかった。 上げられなかった。 きっと、ぐしゃぐしゃの、ボロボロの―― 酷く見っとも無い顔をしているから、今の私。 「ほのか」 フワフワと空間を漂うように、流れて来る声。 綾子だ。 照哉くんは、本当にお節介だと思う。 顔を膝に埋めたまま「ん」とだけ答えれば、 「照くんにメール貰って。 行ったげてって言われたから」 遠慮がちに発せられた言葉と共に、綾子の手が私の肩に触れる感触。