「何だよこれ?」
苛立ちを隠そうとせず、田所は吐き出した。
責められて当然だ。
他の男の印が、私の普段は隠れているはずの場所にあるのだから。
また視界が霞んだ。
田所の視線に耐えきれず、瞼を伏せて俯けば、私の許容範囲を超えてしまった苦しみが、嗚咽となって溢れ出た。
「冬以が、屋上にいて……
飛び降りるって言われて、それで、屋上行ったら……」
断片的な言葉しか出てこない。
苦しくて、悲しくて。
声を出して泣いた。
「そんなもん……
その気になれば、避けれたろ?」
田所は――
残酷な言葉をその口から落とした。
その瞬間、私の呼吸が止まった。
弾かれたように顔を上げ、田所を見た。
至極冷ややかで、感情が全く読み取れない顔がそこにあって。
私の身体が、芯から冷えていく。



