わたしとあなたのありのまま ‥2‥



 田所はようやく私を振り返って、

「ほのか、サボろ」

 軽い口調で言い、悪戯っぽく笑った。

 先ほどまでの不機嫌顔はどこへやら、唐突にいつもの調子を取り戻した田所に唖然とし、ポケっと見詰めていると、田所は私の背中をそっと押し、教室の中へと導いた。
 私の背中から田所の感触が消え、立ち止まって振り返れば、田所が後ろ手に扉を閉めていた。


 密室の中に閉じ込められたような、そんな不安な気持ちになるのは何故だろう。
 田所は私の彼氏なのに。


「ほのか」

 と。
 甘い声音で私の名を呼び、田所の右手が私の顔へ伸びて来て。

 いつもなら、とろけてしまいそうになるシチュエーションなのに、小さな恐怖が私の中にポンと生まれ、思わず一歩後退さってしまった。
 途端、田所が泣きそうな顔をする。