ごぼうのような細い腕を振りながら、笑顔で出迎えてくれているのは、草林 幹男だ。
もぉ一人は、丸井 慎次。
眼鏡をかけてクールを気取っている太めの男だ。

「よぉ来たか!早かったじゃねーか!尚一」

大岩が腕まくりしながら言う。

「めっちゃ走ったし!
つか、手紙が届いたのは俺含めて四人だけか?」

ぜーぜーと息を切らしながら問う。

「いや、あと、菊地と小林と細川に届いてるみたいだぞ」

大岩が答える。
ふーんと相槌を打っていると、ポケットにいれていた携帯のバイブが鳴った。
見てみると俺が小学校からずっと想いを寄せている、後藤 飛香からの着信だった。
大岩と草林が彼女か?と、冷やかすので部屋の外に出て電話に出た。
「もしもし♪どした?」
俺は告白かな?と妄想しにやける。

「あっ、尚一?
昇から手紙が届いたんだけど、尚一にも届いてる?」
なんだそんなことかと、ガッカリしつつ話を続ける。

「後藤にも届いてんのか?俺以外にも大岩や草林とかにも届いてるみたいだぞ」

「大岩達も?で、皆は行く気でいるの?」

俺は、「ちょっと待ってて」と、言い部屋に戻った。
そして、大岩達に並の招待してくれた別荘へ行く?と、聞いた。
すると、大岩と草林は満面の笑みで「もちろん!」と答えた。
丸井も満更でもない顔をしていたので多分OKなんだろう。
俺は、親指を突き立て「了解!」と言うと、部屋を出て電話に出た。

「俺も大岩達も行くよ♪
卒業旅行にもなるし、並とも久々に会いたいしな!」

後藤は俺の答えを聞くと嬉しそーに答えた。

「皆行くなら、ウチも行くぅー♪確か一週間後だよね!」

「確か一週間後の午前8時に港に集合だった!」

「あっ、手紙に書いてあったし♪ありがとね!
じゃあ、またにぃ♪」

俺は「おう!」と、言うと電話を切り部屋に戻った。

男共の視線が痛い。
誤解を解こうと口を開く。

「マジ誤解だから!…」

俺は一部始終を話した。

「そかそか!後藤は来れるみたいだな♪
つーか、お前が電話してる間に細川達に電話したんだけどよー、あいつらも来るって言ってたぜ♪」

大岩が嬉しそーに話す。なんとか誤解は晴れたみたいだ。まー、実際の所、後藤の事が好きなのだが。