ワケがありまして、幕末にございます。








障子戸が開いた音と煙管の匂いが風にのった。



その香りに急かされるように口を開く。




「俺、追い出されるかと思った」


「…聞いてたのか」


「うん。
自分でも怪しいと思うし、しょうがないとも思ったけど。

でも、土方が新撰組だって言ってくれた時嬉しかった」


「………」


「それを聞いた時、決めたよ。

消えない限り、新撰組に生きる。
俺は在た、って証を残す為なら…何度だって鬼になる」




今あるこのセカイを壊さないように。




「…鬼になっても良いことねぇぞ」


「分かってるよ、もう諦めたから」


「(…何に、だよ。
渇いた笑いしやがって)」


「ってことで土方ぁ」


「んぁ?」


「仕事くれ」


「………」




めっちゃアホな目で見てくる土方。
失礼だ。