ワケがありまして、幕末にございます。








「―…あー…」




1人縁側に出て風に当たる。


酒に火照った体が冷えていくのが気持ちいい。



…おもむろに頬をつねってみる。



痛い。


やっぱり夢じゃない。

なぁんて今更だけど。



アタシ、死んでるのかな。


あの時体に大きい衝撃が走ったのは確かだ。


間違いなく()かれた。



けど…アタシはこうして今、此処に居る。



…なんでかな、なんて考えても答えは見付からないけど。




「何やってんだよ」


「あ、土方ぁ」


「さんくらい付けろや」


「えー…」




お互い悪態をつきながら睨みをきかす。




「で?
何やってたんだよ、頬なんて掴んで」


「ノーコ…」


「のうこ?」


「…特に意味はない」




あっぶない、“ノーコメント”なんて言葉使っちゃいけないんだ。



意外と現代には英語が溢れていて困る。


なんせ授業でも英語という教科があるくらいだし。




「嘘ってのはよくねぇな、あ?」




シラッとしていると鋭い目がアタシを見透かすように視界に入れる。