ワケがありまして、幕末にございます。





フッと力を一瞬抜いて相手がバランスを崩したところに足で腹を蹴りあげた。


その隙に刀を逆手に持ち、白梅も鞘から引き抜いた。




「へへ…んだよ、てめぇも二刀流か…」


「……」




普段は稽古の時も木刀1本でやってるから、池田屋事変に居なかった奴はきっと知らない。


皆が起きる前と寝静まった後に稽古しているのを知ってるのはおそらく土方と丞だけ。



そして目の前の奴が知っているのはアタシが目を開かない、ということだけだ。




「てめぇなんぞに負けるかよ、」




刀が2本あるからといって1本の人より強い訳じゃない。


だから、目が見えてるからといって見えてない人より強い訳じゃない。




……守るよ、平助。




「…行きます」


「へへ、へ……ぅわぁ…!」



―――――ガ キィイイン…!


――ザシュ

















新選組最後の内部抗争 油小路事変

御陵衛士
伊東甲子太郎、藤堂平助、服部武雄、毛内有之助

殺害