ワケがありまして、幕末にございます。





それはピリピリとした空気、というよりも呼吸さえも憚れるぐらい痛い程の緊張感だったという



その夜は酒宴が開かれ、彼の帰路に待ち伏せて槍を以って暗殺

彼は本光寺前で絶命した


彼、こと伊東甲子太郎はこの日人の生を終えた








…でもまだ終わりじゃない。


まだ、なんだよな。













伊東の遺骸を引き取りにきたのは藤堂、篠原、鈴木、服部、毛内、加納、富山の7名

あえてそのまま遺骸を放置し、誘き寄せたのだ。

殲滅させる為に。




でも…新八っちゃんと左之は平助を逃がそうとした。


やっぱりコイツ等は…仲間ってだけじゃない、特別な絆が繋がれているんだろう。




逃がすつもりの2人をアタシは屋根の上、気配を絶って座っていた。


アタシは声しか聞こえてないけど…。


あんなに悲しい別れ方だなんて、知らなかった。




平助を刺したのは、アタシ達…新選組の1人だった。



まるで左之達が嵌めたみたいな、悲しい別れ方。



でも違うよ、本当に…本当に、逃げて欲しかったんだ。





…平助。