ワケがありまして、幕末にございます。






「この病名は…」

















「風邪やな」




ただの風邪や、暖かくして寝とき。



体がだるいアタシはただの風邪をひいた模様です。


あんだけタメといてただの風邪です。


あんだけ深刻そうな声色使っててもただの風邪です。



因みにこの部屋には丞しかいません。


この部屋の住人は沖田さんと一緒に焼き芋だそうです。


屁が止まらなくなってしまえばいーね。




「あーあー」


「なんやそんな声だして」


「いやーだってさーそろそろ丞、行くんだろ?」




丞は医学を学ぶため、この地から離れる。


…寂しくなるなぁ。




「お前、変わったなぁ」


「そうか?」




そーいや前も誰かに言われた様な…新八っちゃんかな?




「なんや最近は特に…なんちゅーか色気付いたっちゅーか」


「あっはっはぁ、んなワケないだろ」




ちょっとまだ忍スキル発揮してんの止めて、変に鋭いのマジ止めてほしい。




「…まぁ帰って来た時には」


「医者、だね」


「…ほな、市村の目も、」


「…丞」




黙って首を振る。




「前はさ、回復するって言ってたじゃん?
確かに回復した…一時だけ、ね。
最近はダメなんだ。
目を開けるとまた刺されるような痛みがくるし、目を完全に閉じていても痛みがじわじわくるようになった」




もうこの目は使い物にならない。


分かるんだ。


だって、自分のことだから。



幕末パワーも一瞬だったなぁ。

でも戦える(すべ)は手に入れたから、よしとしよう。