ワケがありまして、幕末にございます。






「貴女は…明里さんですね」


「えっ…」




山南さんは島原によく行っていたみたいだ。


そこで出会ったのが明里さん、とどこかの本に載っていたと思う。


きっと山南さんは明里さんを愛していたんじゃないかとアタシは思っている。




「強い、ですね、明里さんは…」


「強くなんかあらへん…。

だってまだ上手く笑えへん」


「明里さんも…大切だったんですね、山南さんのこと」




彼女はその言葉を聞くと。




「やっ、…やまっ、山南さん、一緒にっ、一緒になろうって言ったのに…」


「明里さん…」




おそらく泣いているのだろう。

激しく振るえている声がそれを物語っている。




「…俺、頑張りますよ」


「え、?」


「皆を笑顔にするために。
その中にはあなたもいますからね、明里さん?」




目をうっすら開けてお茶目っぽく笑う。




「あらぁ、おにぃさんってば…ふふっ。
ずるい人やね」


「貴女が笑って下されば、それだけでいいですよ」


「全くもう、おにぃさんにはかなわんわぁ…」




明里さんは笑ってる顔が綺麗だ、と思う。


この笑みが山南さんも好きだったのだろう。




っし、んじゃアタシもがんばりますか、ね。