ワケがありまして、幕末にございます。





「ほなおにぃさん別嬪さんやし、」


「お着物着て紅塗ったら」


「うちらとお酌しましょ」




なんて素敵なコンビネーション…ってそうじゃなくて。


え、嘘でしょう。

てか嫌だよ。



「あはは~、俺見えないからお酌とか出来ないですよ」


「かまへんかまへん」


「こういうのも一興やて」




え、え、えー。



手を捕まれ奥に連れられると、これに着替えてな~と颯爽とアタシを置いていくオネーサンさん方。



強引でかつ抜群のコンビネーションだ。


逃げようと思ったけど襖の向こうにオネーサン達の気配がする。ので諦めた。



目を開けて用意された着物を見ると朱色の生地に色鮮やかな蝶と桜の花弁が舞う綺麗な着物だった。


女って、こういうのテンションあがるよな。


アタシもまだまだ女だな、なんて実感しながら袖を通す。

裾をひきずる様に大きく作られているこの着物は、アタシが着ても足がでない。


…が、重い。

なんだこの重さ。


こんなの着て踊ったりするの、この人達。



凄いな~としみじみ思いながらオネーサン達に声をかけた。