ワケがありまして、幕末にございます。





じゃあの意味が分からないけど。


まぁ沖田さんのことだから、深くは考えない。




「……いつか寝てあげますよ。

だから、それまでいい子にしてて下さいね?」


「ふふ~約束ですよ」




キラッキラしてる、ごっつキラッキラしてる。


笑顔に花の背景を背負って駆けていった。

走るなっつうのに。



屯所内に戻って行く足音を聞きながらうっすらと頬の肉を上げる。


なんか…吹っ切れたな沖田さん。

そして変態臭くなってきたな沖田さん。




「まるでどこぞの土方…」


「土方さんといやぁ久々なんじゃねぇか?」




歩きながらつぶやくと隣から左之の声。


どことなく考えているような疑問系な音だ。




「何が?」


「何がって、島原だよ。
や、違うか、土方さんの場合遊郭か。
まぁ結構前までは頻繁に行ってたと思うぜ~」




まぁあの人は遊郭なんかに行かなくてもデキるんだけどな、俺と違って。


いつものバカ笑いはなく、ただ、そう言った。




「あぁ、アイツ無駄に端整だからな」




いくら変態だろうと土方は整いすぎて怖いくらいの美形だ。




「羨ましいこって。
俺もあんな子やこんな子とかあの子と…」


「お前も十分綺麗な容姿してるよ」


「……お前簡単にそういう事言うなよなぁぁあ」



ため息を吐きながら言う左之の声は珍しく上擦っている。


照れてんのか、と気付いて思わず吹き出す。




「本当のことだから」




そう言うと更に“うー”だか“うあー”だかよくわからない遠吠えをしていた。


案外可愛い奴だ。