ワケがありまして、幕末にございます。





「やーすまんなぁ」




はっはっはっはと笑う彼は本当に悪いと思ってんのかいささか疑問に感じるが、まぁいい。




「…。」


「で、そこの黒くてデカイのは何で不機嫌なんだよ」


「(黒くてデカイの…ってなんか危ねぇな)
…なんもねぇよ」


「ふーん。
…変態」


「!?」




目を見開く土方を放って松本先生に向き直ると腹を押さえて笑っている。


…この先生も大概変人だな。









「――…申し訳ないが目は…どうすることもできない」




一通り調べてもらった後、さっきとは全く別の顔で松本先生が頭を下げる。


や、そもそもさっきは頭を下げてないのだけど。




「生まれつきなんで、気にしないで下さい」


「だが“此処”で見えない、というのは致命的だろう」


「でもほら、俺こうやってちゃんと生きてますし」




俺、刀振るえてますよ、と言うと困ったように笑う。




「…強いなぁ、君も」




…も、って事は。




「先生、沖田さんの診察…したんですよね」


「…!!
その口ぶりじゃ知ってるようだね」


「市村…?
お前…」


「うん、知ってた。



沖田さんが結核だってこと」