ワケがありまして、幕末にございます。





「おぉ…なんと」


「…ども」




土方に呼ばれ診察場所に行くと、どうやったかは知らないが本当に丞の気配はなく。



松本先生は恐らく目の前だ。

声もそこからするし。




「土方殿、嘘はいけませんなぁ」


「…あ?」


「男ではないというからてっきり女かと思ったんだが」


「いやだから…」


「アレだろう、体は男だが心は女、みたいな。
どこかでそんなのがあると聞いたことあるからなぁ」


「いやむしろその逆」


「体が女?
ないない、どこからどう見ても男だろう、背も高いし」


「…先生、俺…ないっすよ、ホントに」


「ないって何が…」


「いうなれば分身的な…」


「待て、てめぇそれ以上言うな。
(色々危ねぇ…)」


「だってこの人信じてくれない…」


「そりゃぁアレだよ、……てめぇが女にゃ見えねーってことだ」




あぁ…やっぱり?




「って誰が納得するか」




何で信じてくれないのかな、ってゆーか医者なら男女の区別すぐつけようか。



軽く溜め息をつき、着流しの合わせ目をグッと緩める。




「おいっ」


「何焦ってんだよお前は。
サラシ巻いてるし、大丈夫だよ」




ソレを見た松本先生はやっとアタシが女と認めたみたいだった。