ワケがありまして、幕末にございます。





――…ごほ、ごほっ




幻聴か、沖田さんの苦しむ音が聞こえる。


…ンなワケないか。


沖田さんは今診察中だもんな。





今日は新撰組内で病人の有無、治療の仕方…的な。

屯所で診察をする日だ。



そしてアタシは仕事をしている。

上司の仕事を上司の部屋で。


その部屋の主は寝てますけど。

ムカつくぐらい寝てますけど。




――ゴホッ、ゴホ、ゴホ




耳に染みついている気がしてならない苦しい音。



この診察が終わったら、松本先生と話してみよう。


結核について、と

沖田さんはいつまで、なのかを。




「…そういえば土方は、」




両親を結核で亡くしている…んだよな。



と筆を止め1人ごちた。



沖田さんが居なくなった時、土方はどうするんだろう。


考えを巡らせているとビクッと黒い塊が動いた。



あるある。

寝てる時とか自分でも分からないけどいきなりビクッて体が動くんだよね。

あるある。

それで起きちゃうんだよね。

授業中とかテスト中とかなると恥ずかしいよね。




「分かるけど、頭抱えてないでよ、キモイから。」




地味に恥ずかしがっている奴ほどキモいものはない。


だって沖田さんとか可愛い人ならともかく、奴だよ、奴。




「……」


「堂々と恥ずかしがれよ」


「アホか」