「…自分なにやってるん」


「…え、おねだり?」




現代で言う“お手”の状態でアタシは丞の目の前にいた。





時間は少し遡って。


気怠さの抜けない昼過ぎ。


…この気怠さは…うん、きっと風邪じゃない。

でも若干風邪のせいだと思いたい昼過ぎ。



土方は部屋にいない。


おそらく仕事か稽古か…まあぶっちゃけどうでもいい。



縁側に出ようと障子戸を開けると




「……」


「…んお?」




彼の気配があったのだ。



…このシチュエーション前にもあったよね。

この鉢合わせシチュ。




「(なんやいつにも増して雰囲気が…)」


「ほんと気配無いよね、丞」


「うっさいわ」


「でも斎藤さんには負けるよね」


「…お前等と俺を比べんでや」




フ、と瞼を開けば憂いた表情をしていた丞。




や、ごめんって…。
拗ねんなって…。




そう言えば、拗ねてへんし、と唇を突き出していた。



なんか可愛いと思ったのはアタシの目がおかしくなってきたからなのか…。