ワケがありまして、幕末にございます。






アタシの体温が上がっていく。


冷たかった彼の手も伴って熱くなっていく。



アタシ達の。

というよりアタシの熱が更に上がったのかそれは互いに溶けていく様だった。



…普通風邪ひいてる人にやらないよね。


どんだけ慰めてほしかったんだ。



それでも抵抗しないのは…

…風邪のせい、って事にしておこう。




籠った熱さの中、何回も息を食べられ


痛さの中、確かに感じた寂しさと幸せがあった。






「山南さん、アッチでも元気かな」


「…今、それ言うか?」




繋がっている正面、土方に問うた。


目には変わらず鋭さがあったけどそこには揺れた瞳はなく、代わりにアタシとは違った熱を含んでいて。




「あの人のことだ、笑って過ごしてらぁ」




案外真面目に返してくれた土方に少し驚きつつフッと笑った。




「ねぇ土方、俺今男だよ?」


「あ?」


「男に手を出すってことは、やっぱりソッチ…」


「へぇ、そんなこと言えるってことは余裕なんだな」




…もう完璧にいつもの変態。


むしろいつも以上。


いつもの“ソッチの人か攻撃”も効かない土方を相手に、今度は違う意味で泣きたくなった。





もう1回言う、普通風邪ひいてる人にヤらないよね。



大事なことなので2回言いました。


ま、でもアタシにとっても慰めになったかな。




きっと皆、今日という日は人肌が恋しくなったのだろう。


傍に誰かがいると、落ち着く、今日という日だから。




そして力尽きたアタシも彼のぬくもりの中、目を閉じた。