ワケがありまして、幕末にございます。





「サラシ、外さないと辛いんじゃないのか」




いきなり言われた言葉に少し迷った。



確かに外した方が寝やすい。

けど…




「俺は今、男だし」




此処にいる限り、男として生きていくつもりだ。



さっきだって『女なんだけど』と言ったけどアレは言葉のアヤ、というか…突っ込む為。


男として接してもらうのが本望だ。

女は足手まといと見下されるのがこの世界だから。




「外せよ」


「…え?」


「外せよ。
ここでだけ…俺の前だけなら許してやる」


「堂々と変態発言しないでもらえるかな」


「チッ」




チッて何だチッて。




言葉を返そうと唇を開くと触れた手がソレを防ぐ。


額にのった土方の手がさっきよりも冷たく感じた。




「ふ、ぅ…」


「…上がってるな」


「土方、うつるから…離れた方が良い」


「この部屋俺のだろが」




ムッとした声に遠回しに出てけって言ったのがバレた模様。



でも黒デカはそこから動かない。

動く気配が無い。



その代わりバリトンがニヤッとした悪戯っ子の様に紡がれた。