ワケがありまして、幕末にございます。






「…フッ、ウ…クッ、」




肩にはいつの間にか違う重みが乗っていて。


髪が節ばった指に絡められる。


もう片方、筋肉の目立つ腕に引き寄せられ、着流しが濡れた。



あぁ、喉が痛い。












「――…次、いける?」




嗚咽が聞こえなくなった背後に向かって問う。




「あぁ…」




それだけ答えて後ろの彼は更に髪を絡めた。





「…このままじゃ頭皮が死ぬ、ハゲる、間違いない」


「良かったじゃねーか」


「ざけんなどっかの誰かと一緒になるだろ」


「あ?
俺はまだハゲちゃいねぇよ」


「誰も土方とは言ってねぇよ。
そうか、認めてんのか」


「て、め、え」




実はそこまで強く引っ張られてはいない。


むしろ絡められているだけで引っ張られてはいないのだ。



それを分かった上で土方はこの会話をしている。



…って事は回復したんだね。

いつもの、土方だ。