ワケがありまして、幕末にございます。





障子戸を開ける。




「入るな」


「……」




一歩。




「てめぇはてめぇのすることがあるだろ」


「……」




また、一歩。




「出て行け」


「……」




そして、一歩。




「出てけっつってンだろ!」




強く、弱い彼の所に。




「俺に近付くな!」


「……」




背を向けた彼の寂しさに、アタシの重さを加えた。




「近付くなっつったろ」


「触れるなとは言ってない」