ワケがありまして、幕末にございます。





「こ、れは…」




ざわざわ、話し声が大きくなる。




「破った奴は何処だろうと切腹だ」


「ちと厳しすぎじゃぁ…」


「遊ぶ余裕はいらねぇ。
あの長州だ、何を仕掛けてくるか分からねぇ」


「我等は遠征の経験は無い。
気の緩みを無くすための法度だ」


「わぁー…流石に…」


「局中法度だけでも辛いってのに…」




全てにおいて破ったら切腹。


こりゃ確かに文句言いたくなる。

しょうがない。




「あと」


「まだあるんスか…」


「この新撰組屯所、近々移転を考えている」


「!?」


「…どこに、ですか?」


「西本願寺だ」


「「「………」」」


「以上。
文句は聞くが之を変えるつもりはない」




ピク


伊東の気配が僅かに変わった。




「ふふ…流石は“鬼”ね…」




その声はやけに部屋全体に響いた。




「今“中”で揉めてたら先には進めねぇんだよ。
いーな、今後同志の亀裂を生む言動は禁止だ、一切な。

例え幹部であったとしてもだ。
破れば切腹。

以上解散」




部屋を出ていく皆はぶつぶつ何か言っている。



何も言わずして帰った伊東の気配は変わらないままだった。




土方の最後の言葉は警告。


だけどそれにも動じないあの人は一体何を思っているのか。