ワケがありまして、幕末にございます。






「勘弁してくれよ勝っちゃん…」


「ふははは、まったくトシは真面目すぎる。
いつもそう呼んでもらいたいもんだ」


「いや、これでいーんだよ。
近藤さんはもっと上へ行ける人間だ。
俺はその道を造る人間。

それで十分だ」


「まったく、トシらしいよ…」




和みの会話はここまでだった。




「サンナンさんは…どう思ってるだろうな。
何か悩みがあるのなら言って欲しいものだ」


「あの人は物事を自分の中に溜め込むからな」


「元気になってくれるといいが…」


「あぁ大丈夫だ、きっと…な」




2人の声が暗闇の様に沈んでいく。



…山南さん。


この会話を聞いてさえいれば、貴方は…。




昼間はあんなに晴れてたのに、今は冷たい風と水がアタシの髪にぶつかっては溶けていく。



もう直ぐその水が雪に変わる季節になる。



なんだか悲しくて目頭が熱くなった。




それを堪えようとするも、それさえも冷やすような寂しさにひとつ、涙をこぼした。