ワケがありまして、幕末にございます。





これからよろしくお願いします、と部屋を出れば鳥肌を立てたアタシとサブイボを立てた土方が一刻も早くあの部屋から離れるべく縁側を争う様に歩く。




「絶対あの人の好みど真ん中だよ、土方」


「ふざけんなお前だって中々とか言われてただろ」


「無理無理。
あの人武田と同じニオイするし、生粋のソッチの人だったら俺範囲外どころか視界外」


「俺だってソッチじゃねえよ」


「でも俺の事よく撫でたりしてたよな」


「お前は…何か違ぇだろ」


「はぁ?
あん時は男だとしか思ってなかったのにそうできるなんて、やっぱソッチの気あるんだろ」


「んなワケあるか。
あーもーお前だけって事にしとけよ、めんどくせぇから」




…。

そー言うセリフはちゃんとした女に言って欲しいもんだ。



や、アタシも女なんだけどね。




「じゃ、俺は稽古してきますー」


「おぅ。
一応病み上がりって事忘れんなよ」


「分かってるー。
お前は(おかん)か」


「あ゙ぁん!?」




吠えている土方ママを背に久々に道場に向かい、無理をしない程度に汗を流した。



やっぱ(なま)ってたなーと頭に水をかぶる。


筋肉も落ちてたし筋トレ始めようか…と、誰かの気配に目を開ける。



いたのは縁側に座る沖田さん。




ニヤニヤしてるのは突っ込まなくていーよな。