「――…はぁ、はぁ、」


「やっぱりまた出たな…熱」




起きているか寝ているかの微妙な狭間。


額が冷たくなりソレをのせた気配を辿って手を伸ばす。


おそらく土方だろうと頭の隅で思い、本当はずっと言いたかった言葉を言うため唇を震わした。




「だましてて、ごめ、んなさい…。
たすけてくれて…、ありがとう」




我ながらあまりにも弱々しい音だった。



伸ばした右手が大きいソレに包まれ、近くに体温を感じるとまた闇に向かった。




「…だから、泣くなって」




困惑したようなバリトンが暗闇に混じるように消えたのを遠くに聞きながら。