ワケがありまして、幕末にございます。





目を開けたら、鬼がいた。


いやマジで。

瞬きしても変わらず鬼がいる。




「…鬼、」


「あ゙?」




じゃなかった。

ちゃんと人間だった。


けど




「ふざけてんのか、あ゙ぁ?」




やっぱり鬼だ!


泣く子は更に泣き叫ぶ鬼だ!




「…はぁー。
命に係わる傷じゃねぇんだから起きるならさっさと起きろよな」




何日寝てたと思ってんだこの野郎。



なんて。

起きて早々怒られた。



よく見るといつも眉間にシワをよせている土方の顔に、今は隈がハッキリとあってこりゃ鬼に見えるわ…と納得。




「いったぁ…」


「何やってんだよまだ寝てろ、バカが」




起きろって言ったのどこのどいつですか




とか思いつつ、無理矢理布団から体を起こす。




「どんくらい寝てた?」


「丸3日」


「マジですか」




思った以上にアタシは寝すぎていたらしい。