ワケがありまして、幕末にございます。





コイツ、強い。


気配が薄く、隙が無い。


まさか刀まで奪われるなんて思ってもなかった。




「んー、まだ君の本気じゃあないような気がするけど…。
弱点言われて動揺しちゃったかなー」


「…何か用ですか、俺に」


「別に?
コイツ等と一緒だよ」


「アンタみたいな人が?」


「僕みたいな奴だからこそ、でしょ?」




端正な顔を不吉に歪め、笑みをつくる。



この時代、京の街。


辻斬り、人斬り、暗殺、強姦…ありとあらゆる悪が当たり前のこの時代。



彼はきっと…




「多分君は僕より強い。
けど…経験が足らないよ」




人斬り、と呼ばれる人種だ。


しかも人を斬ることを純粋に楽しんでいる、人斬り。