ワケがありまして、幕末にございます。








心臓がうるさい。


指先はまるで氷のように冷たい。



けれど心はまるで踊っているよう。



まるでこの“死合い”を望んでいるかのように。




彼の木刀が動き、そしてピタッと止まる。




「…!!」




左の肩を引いて右足を出し、体は半身に開く。


そして剣先が正眼よりもやや右に寄る。




天然理心流 平星眼




沖田総司の突きの構えだ。



防具をしてない身体に、あの技をくらったら痛いだけではすまないだろう。




対応すべく、アタシもアタシなりの構えをする。