ワケがありまして、幕末にございます。








一本入れた



と、思った。




振り返ってみると、肩にかすったような後があるだけ。

それも本当にあるかないかの境目のようなものだ。



手強い、そう思った束の間。




「…っ!!」




ゾワッと、背筋に何か通るような感覚がした。



さっきのとは比べ物にならない瞳、そして殺気。




こんなの手強い、なんて言葉じゃ足りない。



楽しみましょう?


んなバカな。




これはただの手合わせなんかじゃない。




本気の、そう、比喩的な表現で言えば、“死合い”だ。