ワケがありまして、幕末にございます。





父はまだ母を愛してる。

母がいない今でも父は母に恋をしている。


だから、この人を好きになるハズがない。




『アナタがいなくなれば香さんは私のモノになるわ。
きっと香さんも世間体を気にしてアナタを育てているだけだろうし』




…狂っている。

この人は恋に狂っている。


恋は盲目と言うけれど、この人はその度を越えている。




『大丈夫、アナタみたいなキモチワルイ子なんて、いなくなっても誰も何とも思わないわ』




セカイジュウノ、ダレモ。




『だから…







死んでよ』


『…っ!!』






――ザン!!