ワケがありまして、幕末にございます。





大きい声と揺らされた体にハッと目を開く、が。




「…痛っ」




その後にくる痛みにまた目を閉じる。



くそう、思わず見開いちまったぜ。

まぁその痛みのおかげで我に返ったけど。


ん、と、上半身を包む暖かい温もりに気付いた。

香ったのはさっきの様に血生臭ささに消えかけたものではなく、ハッキリとした煙管の匂い。




「ひじ、ひじかた…」


「あ?」


「ひじかた…」


「んだよ?」




その声を聞いて安心する。


ギュ、更に暖かくなる温度に我慢出来ずにすがり付いた。




「ハゲてなくて良かった!」


「おい」